「今週の歌」194

199.小ぎつね

【作詞:勝 承夫よしお 1947(昭和22) ドイツ民謡 文部省唱歌】

詩とメロディーがピッタリと合って、いかにも日本の曲の様だが、原曲は、ドイツの子供なら誰でも知っている民謡である。

詩は《狐が化ける》という日本の伝統的イメージを軽妙に取り入れている。

喰いしんぼうの私としては「狐」から連想するのは「きつね蕎麦」である。蕎麦は大好きで昼飯に週三回ぐらいは食べている。油揚げとともに食べる「きつね蕎麦」も好物の一つ。蕎麦のあっさりとした味に、油の乗った油揚げが良くマッチする。天ぷら蕎麦も同じく、《アッサリ+油》の醍醐味だ。

狐は油揚げが好き、ということが「きつね蕎麦」の由来らしいが、本当に狐が油揚げを食べるのかどうかは知らない。

対する「たぬき蕎麦」も好物である。天ぷらの種がない揚げ玉だけ、ということから「た抜き」と言われたらしい。

私が勤めていた赤坂に「楓庵」という蕎麦屋がある。夏になると、ここの「冷やしたぬき蕎麦」をよく食べに行った。若い頃は、ちょっと物足りないので、大盛りにしてもらい、更に揚げ餅を一個入れてもらった。それが最近は普通盛りと冷や酒一杯になった。

赤坂には有名な「砂場」という蕎麦屋もあるが、「楓庵」はいわゆる大衆蕎麦屋だ。

私が通い始めた頃、古い木造の店は少し傾き、まわりの食堂やレストランが夏にクーラーをつけているのが当然という時代になっても、窓を開けて扇風機で頑張っていた。ずっと長い間テレビは白黒だった。旦那が厨房に入り、奥さんが実に丁寧にお客様の対応をしていた。

そのうちに息子夫婦らしき二人に代が変わった。それと前後して店は改筑され、扇風機はエアコンに変わり、テレビはカラーになった。しかし嬉しい事に「冷やしたぬき蕎麦」の味は変わらなかった。

今でも都内に出たときは時々この店に行ってみる。小じゃれた最近の蕎麦屋も良いが、昔からの素朴な大衆蕎麦屋も捨てがたい。(N)