「今週の歌」

181.花は咲く

【作詞:岩井俊二、作曲:菅野よう子 2011(平成23)

普段歌を歌って目がなみだになることは殆どないが、この曲だけは別だ。すべての色や形のあるものを無に、全ての生を寄する波が、返す波で何もない大地にしてしまった瞬間が目に浮かび、歌う声がにじんでしまうのだから。

詞は「かなえたい夢もあった 変わりたい自分もいた 今はただ懐かしい」と普通の言葉だけに、胸つまる思いだ。

災害列島である日本には、地震・台風・豪雨・火山噴火そして津波が容赦なく、この世を被い、降りかかる。平安の時代から今日までの災害を揚げれば切りがない。そして日本の歴史は災害(天災、含人災)との終わりのない戦いであったともいえる。なおも自然は我が愛する国を完膚無きまでに叩きのめし、如何んともし難いがつらく悲しい歴史「311」としてまた深く・・深く・・、われわれの心に刻印した。

 東日本大震災はまさに地震、津波に放射能被害の三重苦である。どうしていいのか分からない我ら二人は「花は咲く、きっと」と歌うのがせいぜいだ。機会あるごとに歌うように心掛けている、という程度のことだ。

多分ほとんどの日本人が何をすればいいかと思いながら、今に到っている。無力なわれわれが出来ることは、日常の社会・経済生活を普通に送っていくことである。それが結果として「優しい平安な日本」につながっていくと思うからである。少なくともわたくしはそう思いたい。そしてこれからも想像だにしないことが起こっても、東北が東北らしくなって欲しい。(M)

 

201411月被災地の仙台市荒浜あらはまを訪れた。浜まで続く荒涼とした原野は一面に黄色のセイタカアワダチソウが被っていた。しかしよく目をこらして見ると、沢山の家の基礎だけが確認できる。そこは新興住宅街ごと津波に流された後であった。ポツンと残骸だけがとり残されている四階建ての小学校の三階に「ありがとう」と赤い字でかかれた横断幕が風にゆれていた。身のすくむような思いがした。

仙台駅のそばの某レストランでライブコンサートをした。アンコールに表題の曲を会場全員で大きな声でうたった。

「花は、花は、花は咲く〜」、何度も何度も繰り返し歌った。涙が出てきて困った。(N)